雖近而不見(すいごんにぃふぅけん)の話。〔#230〕

悩みはどこから
あたしはここよ。

みなさん、こんにちは。

お元気ですか?

さて、今回は「雖近而不見」。

「雖近而不見」って近所のおっちゃんがやたら好きな言葉なので、この言葉を聞くとそのおっちゃんを思い浮かべてしまうのですが、

いろんなおっさんから飛び出してくる言葉なので、きっとおっさん達を魅了させるものがあるのでしょう。

そこまで気にも留めていませんでしたが、何がそんなにおっさん達を魅了させるのか、「雖近而不見」を今回のテーマとして、皆さんと一緒に見ていきたいと思います。

雖近而不見とは


雖近而不見というのは、法華経の寿量品の偈(げ)の部分に登場してきます。

ちなみに、寿量品の偈というのは、「自我・・」から始まるので、「自我偈(じがげ)」とも言われます。



では、「雖近而不見」が出てくる箇所を書き出してみましょう。
↓  ↓
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(我常住於此 以諸神通力 令顛倒衆生 雖近而不見)
我常に此に住すれども 諸の神通力を以て 顛倒の衆生をして 近しと雖(いえど)も而も見ざらしむ

私は常にここにあるけれども、諸の神通力により顛倒した衆生には近くにいても見えないのです。I am always here, but through my transcendental powers I make it so that living beings in their befuddlement do not see me even when close by.
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はい。

「私はここにいるけど、顛倒している衆生には近くにいても見えないんだよ」

近くても見えない。これが雖近而不見になります。

一度紹介していますが、「星の王子さま」という本で、こんなセリフもありましたね、


ものごとっていうのはね、心で見ないとよく見えないんだよ。
It is only with the heart that one can see rightly;

かんじんなことって、目に見えないんだ。

what is essential is invisible to the eye.
サン=テグジュペリ『星の王子さま』/Antoine de Saint-Exupéry,『The Little Prince』 

かんじんなことって、目に見えない。

なんだか法華経のストーリーとかぶってきますね。


さて話を戻しますが、

「私は常にここにあるけれども・・」という仏の説法の中で、雖近而不見が出てきます。


私たちはもう一段階深く拝すことが出来ますね。


この「仏」は「己心の中」にあるということです。


その前提を入れると、こんな感じでしょうか。


「仏の命は自分の中に常にあるけど、自分の命がカオスだと、あっても見えないよ」笑。


ニュアンス的にはこんな感じになると思います。

だとすると、もともとあるのに、あなたの命の中で見えなくさせてるんだよという話になりますね。

例えば、悩みを解決するための手段として大抵の人は信仰をするのでしょうが、

この信心の本当の力は、自分の中にある仏の命を見えなくしているものを、見える命にしてくれるってことなんだと思います。

「悩み」って、「悩み」そのものはどこから来ているのか凡人だとわからなかったりします。

でも、「活動をしている中」で起きてきたものはすべて、本因妙のリズムになっているはずですから、「見える命」にさせるための、「意味を持つ悩み」になってあらわれてきてくれるわけです。

その悩みを乗り越えるために奮闘しているはずが、実はもともとあった過去から持ち越している命のホコリを取り去り、命の澱みを綺麗にする戦いをしていたってわけですね。


つまり程度の違いこそあれ、おそらく私たちは誰でも雖近而不見からスタートして、自分の命そのものが妙法の働きに変わる過程を楽しむために(笑)生きているということになりますね。まさしくこの人生が遊楽する場所に変わります。・・この仏法に巡り合えればの話ですが。


そして、さらにもう一歩深く拝されている方がいます。


それが先生。


先生はかつて、「自分の戦いで、自分の苦悩に意味を与える」とおっしゃったことがありました。

「意味を与える」って、とてもいい言葉だけど、よくよく考えると、ものすごいことです。「自分の戦いの中」で、「意味の持つ悩みが出てくる」と言わずに、「自分の苦悩に意味を与える」とおっしゃっています。


意味の持つ悩みが出てくるだけなら、自分の無意識なところを待っているようなイメージがありますね。「意味を与えていく」という強さ。無意識のリズムも意識のリズムもすべて妙法のリズムにしていく命の強さがこんな何気ない一言にもあらわれてきます。

創価の真骨頂ですね。


素晴らしき人生を!



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