法華経のストーリーを見ていこう(序品第一じょほんだいいち/Introduction)Chapter 1 〔#038〕

法華経序品第一のあらすじ








如是我聞。一時仏住王舎城耆闍崛山中・・・各礼仏足。退坐一面。
This is what I heard: At one time the Buddha was in Rajagriha, staying on Mount Gridhrakuta....Each of these, after bowing in obeisance before the Buddha’s feet, withdrew and took a seat to one side.

舞台は耆闍崛山(霊鷲山/Eagle Peak)です。

わたしはこのように聞きました(如是我聞(にょぜがもん) This is what I head)から物語がスタートします。

霊鷲山にいる釈尊のもとにたくさんの者たちが集まり、各々、釈尊の足元に礼拝し、退いて一面に座ります。ここで、たくさんの登場人物が出てきますので、一気にご紹介しましょう。

(登場人物)

グループA)
釈尊の十大弟子など、超有名な阿羅漢の僧侶たち(a multitude of leading monks/12000人の僧。代表して21名の人物が登場)

例)
阿若憍陳如(あにゃきょうじんにょ/Ajnata Kaundinya/1番最初に弟子になった人)
摩訶迦葉 (まかかしょう/Mahakashyapa)
舎利弗(しゃりほつ/Shariputra 智慧第一。釈尊より年上)
摩訶目犍連(まかもっけんれんMahāmaudgalyāyana/神通第一。略して目蓮もくれん)
摩訶迦旃延 (まかかせんねん/Mahākātyāyana 議論第一。)
阿那律(あなりつAnuruddha )
富楼那(ふるなPūrna)
須菩提 (しゅぼだいSubhūti)
阿難(あなん/Ananda 25年釈尊に仕える)
羅喉羅(らごら/Rahula 釈尊の息子)などなどのグループ

グループB)修行しているその他の僧侶たち(学・無学の僧 2000人 two housand persons some of whom were still learning and some who had completed their learning.)

グループC)女性の尼僧
釈尊のお母さん(養母)/摩訶波闍波提(まかはじゃはだい nun Mahaprajapati)+付き添いの6000人の尼僧
釈尊の出家前の嫁/耶輸陀羅 (やしゅだら nun Yashodhara)+侍女たち

グループD)菩薩たち(8万人の菩薩。代表して18人登場/Bodhisattvas)

例)
文殊師利菩薩(もんじゅしりぼさつ/Bdhisattva Manjushri 智慧を供えている)
観世音 菩薩(かんぜおんぼさつ/Bodhisattva Perceiver of the World's Sounds 観音のこと。慈悲と救済の菩薩)
薬王菩薩(やくおうぼさつ)Medicine King
月光菩薩(がっこうぼさつ/Moonlight 智慧の光で人々を照らす
弥勒菩薩(みろくぼさつ/Maitreya 慈しみの師)などなど。

グループE)神々たち(The kings and sons of gods of various heavenly realms)

例)
帝釈天( たいしゃくてん/Shakra Devanam Indra 天界の王)+その従者の天子2万人
帝釈天を守護する四天王the Four Great Heavenly Kings and King Brahma. (増長天、広目天、持国天、毘沙門(多聞)天)+従者の天子3万人
梵天王(ぼんてんおう/娑婆世界の主)+天子たち1万2千。
八大竜王(水中の主Eight dragon kings)+幾千万億の従者の竜たち。(ちなみに八竜王の一人娑伽羅龍王の娘が、「女人成仏」の竜女)
緊那羅(きんなら/kimnara kings 鬼霊) の四王+幾千万億の従者たち。
乾闥婆(けんだっぱ/gandharva kings神霊) の四王+幾千万億の従者たち。
阿修羅(あしゅらasura kings ) の四王+幾千万億の従者たち。
迦楼羅(かるら/garuda kings 竜を食べる大鳥) の四王+幾千万億の従者たち。

グループF)マガダ国王阿闍世王(あじゃせおう King Ajatashatru)+従者

グループA)からグループF)まで全員合わせると、数十万人規模の衆生が集まっていることになります。

その衆生たちが霊鷲山で釈尊の周りにいるという設定で幕をあけます。

では内容にいきましょう。

序品第一/Introduction 簡単あらすじ

為諸菩薩説大乗経、名無量義、教菩薩法、仏所護念。仏説此経已、結跏趺坐、入於無量義処三昧、身心不動。是時天雨曼陀羅華・摩訶曼陀羅華・曼殊沙華・摩訶曼殊沙華、而散仏上及諸大衆。普仏世界六種震動。...是諸大衆。得未曾有。歓喜合掌。一心観仏。

釈尊は、無量義といって無限に奥深い意義があることを説いた後、深い瞑想に入ります。そうするとどうでしょう。天界から曼陀羅華(まんだらけ/mandarava)や曼殊沙華(まんじゅしゃけ/manjushaka)などの花々が人々に雨のようにふりそそぎまして、天地が六種(東西南北そして上下/six ways)にゆれだすのです。そこにいたすべての人たちが、この未曽有の出来事に手を合わせて歓び、一心に釈尊の方を仰ぎ見ます。

Syakyamuni enters "the samadho of the origin of immeasurable meanings(referes to a state of maditation in which one concentrates his or her mind on fundamental Law)" and manifests a variety of extraordinary phenomena, which is , mandarava and manjushaka flowers rain down from the heavens on the Buddha and the assembly and the earth shakes and trembles in six ways. As a result, the beings gathered on Eagle Peak are delighted beyound what they have ever experienced. they rejoice and gaze intently at the Buddha. )

爾時仏放眉間白毫相光、照東方万八千世界、靡不周遍。下至阿鼻地獄、上至阿迦尼吒天。於此世界、尽見彼土六趣衆生、又見彼土現在諸仏。及聞諸仏所説経法,并見彼諸比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷、諸修行得道者。復見諸菩薩摩訶薩、種種因縁・種種信解・種種相貌、行菩薩道、復見諸仏般涅槃者、復見諸仏般涅槃後、以仏舎利起七宝塔。

そのとき、釈尊の眉間の白毫から光が放たれ、東方の世界(1万8千)をくまなく照らしだします。その光の力で、下は 阿鼻地獄 (あびじごく)から上は阿迦尼天(あかにだてん)まで、世界のすべてのものを照らし出すことができるのです。その光で照らしだされた世界では六趣の衆生、すなわち地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天 にいる人々のありさまが見え、それぞれの国土の仏たちが説法し、経を説く声が聞こえ、教えを受けた人々が様々な修行をしているのが見え、仏が入滅し、入滅後の人々が仏をしたって仏塔が美しく飾られて建つのも見えるのです。

The Buddha then emits a ray of light from thr tuft of white hair between his eyebrows, completely illuminating the eighteen thousansd lands to the east. Each of the worlds illuminated by that light is descibedin vivid detail. The Buddhas of various lands are preaching, and those who have embraced the teachings are practicing them in many ways. in some lands, the Buddha has died, and his followers, out of love and respect for him,erect stupas or memorial towers as offering of faith.


そのとき、その場にいた弥勒菩薩は疑問に思います。

「釈尊によるこのような不思議な現象は一体何が原因で、どんな意味があるのだろう。このことを誰に尋ねたら答えを知っているだろうか。文殊師利菩薩は、かねてから数限りない仏に仕えて来ているから、このような不思議な現象を見たことがあるかもしれない、みんなを代表して尋ねてみよう。」

Bodhisattva Maitreya,representing all the assembled listeners, voices surprise and doubts by asking why Shakyamuni has manifested all these astounding phenomena.

そして尋ねられた文殊師利菩薩が弥勒菩薩とまわりにいる者たちに、このように答えます。
Bodhisattva Manjushri replies to Maitreya's questions.

「今、釈尊は、偉大な法を説き、偉大な法の雨を降らし、偉大な法の貝を吹き、偉大な法の太鼓を撃ちならし、偉大な法の意義を述べようとされているのであろう。過去の仏にもこのようなことがありました。今、釈尊もまた、世間のすべての人々に、この信じがたい法を、あらゆる衆生に聞いて知ることができるようにさせたいと思うゆえに、このような不思議な現象を現したのでしょう。」

"i suppose that the Buddha, the World-Honored One, wishes now to expound the great Law, to rain own the rain of the great Law, to blow the conch of the great Law, ti beat the drum of the great Law, to elucidate the meaning of the great Law...He wishes to cause all living being to hear and understand the Law, which is difficult for all the wirld to believe. Therefore he has manifested this auspicious portent"

「みなさん、かつて計り知れないほど昔に、日月灯明如来(にちがつとうみょうにょらい/the Buddha Sun Moon Bright)という仏がが現われました。正しい法を説くのに、 意味するところは深く、言葉は絶妙でありました。声聞たちには 四諦と縁起の法を説いて、 生・老・病・死を通して悟りを得、、菩薩たちには六波羅蜜 を説き、阿耨多羅三藐三菩提の最高の悟りを得たのです。次に仏がまた現れます。名前を日月灯明というのです。次に仏がまた現れます。名前を日月灯明という。このように、同じ名前で2万の日月灯明が 現われたのです。このようにして最後に現われた日月灯明如来が、同じような現象を現したのです。

菩薩たちのなかに、妙光という菩薩がいまして、妙光菩薩には800の弟子がいました。その時、日月灯明如来は瞑想から 立ち上がって、『妙法蓮華経』という経を説いたのです。それは六十中劫(small kalpas)という きわめて長い時間をかけて 説かれたものなのです。その間、食事をするほどの短い時に感ぜられ、身体を動かしたり気がゆるんだりしたものは誰一人いませんでした。 こうして説き終わると、日月灯明如来はこう言われます。 『今日夜半、わたしは入滅する』 と。

そして、徳蔵菩薩に浄身如来となるであろうと授記してから、入滅したのです。

日月灯明如来の入滅ののち、妙光菩薩は妙法蓮華経を保持し、八十中劫という長い長い時のあいだ、人々のために説きました。妙光菩薩の 800人の弟子たちのなかに、求名(ぐみょう)と呼ばれるものが いました。名利を求め、名声を博したいと願っていたのですが、経を読んでも理解できず、すぐ忘れてしまうのです。しかし求名は一念発起 して善行を積み、諸仏に仕え敬い礼拝しつづけたのです。弥勒よ、その時の妙光菩薩は、誰あろう他ならぬこのわたしです。そして あの怠け者の求名菩薩は、あなただったのです。今、仏が照らし出されたこの不思議の現象は、あのとき起こったことと同じです。このような訳で、きっと釈尊はこれから大いなる 『妙法蓮華経』を説こうとしている、と私は思うのです」と。

Manjushri speaks of experiences in previous lives. He describes how in the past a Buddha named Sun Moon Bright manifested the same kind of wondrous phenomena  when he preached the Lutus Sutra. On that basis, says Manjushri, Shakyamuni must also be about to preach the Lotus Sutra.


ざっくりかんたん解説

まず、集ってきた衆生は身分関係なくあらゆる人たちです。女性も含まれていますね。つまり、今から話すことは、あらゆる衆生に説こうとしていることが登場人物から分かります。

さらには人ではない神々も集まってきています。注目したいのは、衆生と同じ場所で同じようにいるということだと思います。つまり、釈尊が法だとすると、全て集まってきている者たちはその法によって現れる側面だと捉えることができるようです。神々や守護する者たちは、法に対して外側にいるのではなく、全員、法の中で作用する存在であることが、立ち位置から分かります。

釈尊の眉間から光が放ち、全ての様相がはっきりと映しだされます。全てを映し出すことができる光の意味や不可思議な現象はまだ釈尊が瞑想中のため、語られていませんが、これから語られるよという前置きで、現象だけ表現されています。

ここで注目したいのが、仏は何度も何度も現れては妙法蓮華経を衆生に説いて、亡くなるということ繰り返していることです。いろんな仏が、さまざまな妙法蓮華経を説いている。これは何を意味するものなのか、これから明かされていくよということのようです。

・・・なんだか、わくわくしますね。

ここで一つ、人間革命第1巻に出てくる戸田先生の言葉を引用して終わりにします。

「法華経の意義も知らないで、いくら広宣流布、広宣流布といっても、話にならない。・・・なんといったらよいかなあ、まったくすごい教えだぞ、法華経というのは・・・」(人間革命第1巻『千里の道』より引用)

You can keep on saying 'kosen-rufu, kosen-rufu' all you like, but if you do not even know the meaning of the sutra, it's just talk. How shall i put it ? it's an astounding work, the Lotus Sutra."

序品(1)おわり!

次は2品目。この2品目のタイトルは超有名です。「方便品第二/Expedient Means」です。では!

〈法華経28品シリーズ〉
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